Yokohama Citizen's Radioactivity Measuring Station

福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウムを葉に受けることで内部に取り込んでしまったと考えられる小麦、小麦を使った加工品の放射能汚染が目立ってきています。
ちょうど昨年の今頃、新茶から放射性セシウムが立て続けに検出された事例と似ています。

神奈川県でも比較的高い小麦の測定値が当測定所の測定結果にも表れています。
下記の資料をご参照ください。

1986年のチェルノブイリ原発事故の前後の日本の玄麦の放射性セシウム量のデータです。
日本でも汚染が確認されています。しかし、翌年、1987年には原発事故以前の玄麦の平均値にまで低下していることが分かります。そうなると小麦は土壌からの移行が主たる要因ではなく、葉に降り注いだ放射性セシウムの吸収が優位ということなのかもしれません。

24年度産の小麦からは高い放射性セシウムの値は今のところ検出されていません。しかし、まだまだデータが少なく判断できる状況にはありません。24年産冬蒔き小麦は今が収穫の時ですのでこれから市場に出回ります。

自治体でも徐々に小麦のデータを公表していくでしょうから昨年との比較も含めて注視してください。チェルノブイリと同じ小麦のデータ推移をたどるかどうかは継続的に測定を行い、サンプル数を増やして実態を見るしかないと思います。

また小麦の場合、玄麦から製粉し小麦粉になる過程で放射性セシウムが1/3程度に減少します。つまり、ふすまや胚芽を取り除かずひいて粉にした全粒粉やそれを原料にした加工品は放射性濃度が高くなる可能性が高いです。

横浜市民測定所の結果でも地粉を使った23年産の加工品は汚染が顕著なものがあります。また、同生産者の製粉された小麦粉と全粒粉では後者の方が高い値が出ています。

小麦(麦)はいろんな形でお店に並んでいます。麺類、パン類、ケーキ、クッキー、ホットケーキミックス、肉まん、お好み焼き、餃子などなど。ざっと書いただけでもこどもの好きなものばかり。そして、小麦は摂取量がとても多い。
やはり注意が必要ですね。

産地を気にされて購入されている方、収穫年度も必ず確認しましょう。
収穫の小麦の放射セシウムの値が低くなっても形を変えて長い間流通します。

以下に各県の2011年の小麦の放射能検査の結果を示しましたのでご参照ください。

ただ、このデータは目安でしかありません。

測定をすることで数値が見え、安心につながります。
現在、他の市民測定所も含めて小麦に着目しデータを重ねています。今後とも測定結果の迅速な発信に努めてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

神奈川http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/14/mugi.html
千葉http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/12/mugi.html
埼玉http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/11/mugi.html
群馬http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/10/mugi.html
栃木http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/09/mugi.html
茨城http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/08/mugi.html
福島http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/07/mugi.html
岩手http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/03/mugi.html

引用資料:
主要穀類および農耕地土壌の90Sr と137Cs 分析データ一般公開システム
農業環境技術研究所
http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/sys_top.html

参考資料:
1.我孫子市農政課 講演会「放射性物質の農産物と農地への影響について」の配布資料
「農作物と農地、森林系の放射能汚染を考える」 結田康一(元農業環境技術研究所)
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/19,86810,c,html/86810/20111129-142229.pdf

2.「わが国における小麦の放射能汚染」 農業環境技術研究所 環境科学分析センター
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/publish/niaesnews/060/news06007.pdf

3.わが国の米、小麦および土壌における 90Srと 137Cs 濃度の 長期モニタリングと変動解析 農業環境技術研究所
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010724549.pdf

4.農作物や農耕地土壌中の放射性物質長期モニタリング 土壌環境研究領域 木方展治
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/publish/niaesnews/093/09305.pdf

5.ユメシホウ・プロジェクト事務局ブログ 横浜市立大学木原生物学研究所byYCU_yume44
2011年3月の横浜の小麦の生育状況
http://yume44.exblog.jp/12235103/

6.福島県における降下した放射性物質のコムギの組織別イメージングとセシウム134およびセシウム137の定量 東京大学生物生産工学研究センター 東京大学大学院農学生命科学研究科 福島県農業総合センター
http://www.jrias.or.jp/books/pdf/20110727-103616.pdf

7.放射性物質飛散時の小麦生育量が子実の放射性物質濃度に及ぼす影響
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/08%20jyosennsisinn/komugi.pdf

8.小麦の放射性物質濃度 福島県農業総合センター 11ページ(9)
http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/kenkyuseika/h23_radiologic/110909_siryou.pdf

9.小麦の放射性セシウム含量は原料小麦の1/3になる 福島県農業総合センター
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/08%20jyosennsisinn/komugiko.pdf

10.麦類の加工工程における放射性セシウムの動態解析 食品総合研究所
http://www.naro.affrc.go.jp/disaster/files/radioactivity_r_05.pdf


麦製品の測定結果はこちら(測定結果ページ)

 

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